作家コメント

レンズを透過した画像のプリントではなく、暗室の中で印画紙上に直接「もの」を置いて露光させるフォトグラムという技法で作成しています。身近にある見慣れた「もの」が、反転した光と影のイメージとなって印画紙に定着されます。そこにはレンズが結ぶパースペクティブから解放された不思議な浮遊感が生まれます。

光を当てるのはほんの一瞬で、光の軌跡は潜像となり印画紙に記録されます。CG（コンピュータグラフィックス）のようにディスプレイ上で構成を確認しながら進めることはできません。そこに、コントロールできない偶然性の入り込む余地があります。現像により現れたイメージには、今まで見たこともないものを経験する視覚の楽しさがあります。

プロフィール

1966年岐阜市生まれ、高校時代より写真に親しむ。
2011年より写真家・プリンターの金子典子モノクロプリントワークショップに参加。

企画 一般財団法人 戸部記念財団